やっぱり、先達が良く読む本は知りたくなっちゃうのです
今回は特集『この仏教書を読め!』のアンケートを元に「あえて」よく出てきた本を確認してみました。
何故「あえて」なのかというと、この雑誌を作成した際の編集部の意向に反するため。
編集部としてはタイトルのとおり始めは識者へのアンケートを元にランキングを作成したりカテゴリー分けをしようとされたようです。
が、あまりにも多種多様なこと、また本来個人的な仏教に対し「大切な仏教書は?」と問う時点でそれは不可能なことだという結果になり、再度構成を変更して今の内容になっているようでした。
ですが、私のような仏教の勉強も実践もほとんど無いに等しい人間にとってはやっぱり多くの先達がどのような本を足がかりとしていたのか、傾向について知りたいもの。
とはいえ、さすがにランキング形式は躊躇われるため順不同でよく出てきた本、また意表をつかれた本がどのようなものかを確認する内容とさせていただきます。
本来の雑誌では各識者のコメントと合わせて紹介されているため、もしさらに興味があればご紹介した方がどのような思い入れを持っているかと合わせて記事を読んでみてください。
では、さっそく参ります!
ブッダのことばースッタニパータ
鉄板といって良い位多くの方が紹介されていました。
私も最初に読んだときは「これお経?」と思うような内容でした。
対句がいくつも入り、まるで詩のよう。
難しい言葉はほとんど無く、日常的な言葉で書かれているため逆に抽象的な感じを受けてしまうときもありますが読むときの状態によって色々と感じる内容が異なるという意味で、いつまでも読める本なのかもしれません。
ちなみに歴史的にはお経として伝わってくる時にほとんど漢訳されなかった部分の為、後述する『南伝大蔵経』として日本には明治以降に初めて伝わったそうです。
他にも中村元さんの翻訳された
も複数人の方が回答されていました。
ブッダの実践心理学
ブッダの実践心理学 第二巻 心の分析(サンガ文庫) (アビダンマ講義シリーズ)
- 作者: アルボムッレ・スマナサーラ,藤本晃
- 出版社/メーカー: サンガ
- 発売日: 2013/01/25
- メディア: 文庫
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全8巻のシリーズ本。「アビダンマ」とは「経典の読み方・解釈の仕方を書いた参考書」のようなものだそうです。
このシリーズではアビダンマを読む「前準備のテキスト」である「アビダンマッタサンガハ」について書かれた本なのですが、それでも全8巻のボリュームです。
アビダンマってどれだけ難しいんでしょうかね・・・
少しだけ読みましたが、平易な日本語で、かつ講師と生徒の対話のような形式で書かれているため初期仏典の理論を理解しようとするには最適の足がかりなのかもしれません。
ミャンマーの瞑想ーウィパッサナー観法
こちらを推している方が複数いらっしゃいました。
全く読んでいないので詳しいことは書けませんが、Amazonレビューなどを見た限りでは細かいヴィパッサナーの段階について書いてあるようです。
ブッダの瞑想法ーヴィパッサナー瞑想の理論と実践
現役の僧侶の方も推薦されていました。
やはり丁寧に書かれている本なのだと思います。
阿含経典
本気になったら原典にあたれ!というのは良く分かります。
ただでかい・・・しばらくは気になった箇所を借りて読むことになりそうです。
意識と本質
こちらはどちらかというと東洋思想の全体像を示している本とのこと。
一歩引いて「思想」の領域で他の思想と比較して仏教を眺めるには最適なのかな?
正法眼蔵
曹洞宗の開祖、道元が記した仏教思想書。
多くの方が挙げていました。
ただ、理解するのは非常に難しいようです・・・
呼吸による気づきの教えーパーリ原典「アーナーパーナサティ・スッタ」
呼吸による気づきの教え―パーリ原典「アーナーパーナサティ・スッタ」詳解
- 作者: 井上ウィマラ
- 出版社/メーカー: 佼成出版社
- 発売日: 2005/10
- メディア: 単行本
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パーリ経典内の「アーナーパーナサティスッタ(安般念経)」の解説書。
この経典に書かれている「安般念」が分からなかったので調べたところ、
呼吸を意識しながら、身体・感覚・心・法の4つに対して、それぞれ4つずつ、計16種類の観察を行う
方法なんだそうです。
呼吸による癒しー実践ヴィパッサナー瞑想
先の本の著者、井上ウィマラさんが訳したラリー・ローゼンバーグさんの本。
お二人とも海外でヴィパッサナーを指導されている方。
海外だと呼吸に意識を向ける方式で教えている所が多いのでしょうか?
南伝大蔵経
現在、スリランカ・ミャンマー・タイ等の上座部仏教文化圏で流通しているパーリ仏典の日本語版です。
本気になったら原典に(以下略)
あれば便利なんでしょうね・・・
虔十公園林(けんじゅうこうえんりん)
ああ全くたれがかしこくたれが賢くないかはわかりません。ただどこまでも十力(じゅうりき)の作用は不思議です。
この童話を挙げている方がいたので驚きつつ読んでみました。
知的障害のある虔十(けんじゅう)が植えたみすぼらしい杉林が子供達の格好の遊び場になり、将来そこから立派に育った子供達がその林を育てた虔十の成したことを述懐するというお話。
とっても短く青空文庫でも読めます。こちら。
豊穣の海
三島由紀夫の最後の長編小説。
こちらも読んだ事がないので調べましたが
- 20歳で死ぬ青年が一巻ごとに主人公となり、死ぬと次の巻の主人公に輪廻転生する
- 最終巻の入稿日に三島由紀夫が自殺
この2つだけでもうお腹一杯になりそうです・・・
ちなみに3巻目が唯識思想など、仏教の思想が豊富に表現されているようです。
まとめ
多くの人が長く読み続けている本はやっぱり輝くものがあると思うのです。
参考程度にしかならないとは思いますが、こんな本も読んでみようというきっかけになれば幸いです。