- 作者: 蓑輪顕量,西澤卓美(ウ・コーサッラ西澤,青野貴芳,井上ウィマラ,アルボムッレ・スマナサーラ,星飛雄馬,葛西賢太,熊野宏昭,永井均,香山リカ,新井由己,天野和公,原始仏教ガール(中田亜希),鈴木一生,プラユキ・ナラテボー,マハーカルナー,山下良道,地橋秀雄,島田啓介
- 出版社/メーカー: サンガ
- 発売日: 2014/07/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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2年前の本ですがようやく購入して読み始めています。
ただでさえ厚いですが音読の効用テスト中のため可能な限り音読中。
一週間で読めるかな・・・
で、本題ですが一番最初の「上座仏教の瞑想概観」までを読んで気づいたことを報告いたします。
ちなみにここだけで約30p、本全体で400p越えの大ボリュームです。ひええ。
瞑想の「止」「観」についての概観がまとめられています
ざっくり序文+5章でタイトルそのままではないですが、こんなことが書かれています
- なぜ心を「止める」ことに関心が向いたか
- 心の働きを沈める「止」の瞑想
- 「止」と「観」の違い
- 「観」の2つの方向性
- 言語と「判断していない」状態の智慧について
- 瞑想をする上でのサマタ(止)とヴィパッサナー(観)のバランス
以下、感想です。
なぜ心を止めようと思ったか?
確かに普通に考え付くことではありませんよね。
発祥としてはやはり「輪廻」との関連付けのようです。
生存が繰り返される「輪廻」の原動力は何か?と考えたときに「行動」の源泉は何か、という問いがたち、「行動」の源泉が「心に生じる思い」であるならば、心を止めれば輪廻が止まるんじゃないかと考えたのではという理論が展開されています。
そこから「止」の瞑想法が出てきたと。納得いきますね。
心を1つのものに集中していくことで心を静めて「止」める
心を静めるには心の働きを静める行動が必要です。それが「観察」です。
心の働きを静める方向に進める観察法が「心を1つの対象に結びつける」三昧であり、観察法が良く書かれているパーリ経典として『中部経典』『大念住経』があると。
難しいなと思ったのはどういう状態が「心を1つの対象に結び付けている」状態か、ということでした。
言葉を使って正しくラベリングする状態なのか、ただ注意を向けていればよいのか。
いずれにせよ、ありのままを正しく知ることが必要で、そのためには観察対象がどのようなものかを分類し、振り分けることができないと「知っている」とはいえないわけです。
この辺りどういう身心の状態があるのかは瞑想を実践して体感すると共に、経典などをあたってどういうわけ方を一般にするのかは知っておいた方がスムーズに瞑想が出来そうです。
対象と感じている側が「異なる」ことに気づく智慧を積み重ねる
「観」(ヴィパッサナー)が何故変化を観察することで成り立つのかと疑問に思っていましたが、1つだと思っていたものが「異なる」ものだと気づくことが「智」であり、それを見つけていく観察法であるから、というのはなるほどなと思いました。
観て、区別して、また新しい対象を観て、区別していき「智」を積み重ねていく。
分けることが出来る「智」が増えるとさらに細かい分析が出来、さらに微細な働きを感じることが出来るようになる。理屈通ってますよね。
実践→知識として確認→実践・・・とすると手ごたえが違う気がする
心の働きも分けることが出来れば、そもそも心が対象をつかまえる前に「探してつかまえる」心の働き「尋」、また、心が対象を「つかまえ続けよう」とする働き「伺」にも気づくことが出来るという記載があり、何となく思い当たる部分があるので瞑想で確かめてみました。
ある程度続けてきて、リラックスしてくると感覚の「合間」みたいのが感じられるようになってくることがあるのですが、そこでモニャモニャっとした妄想以前の妄想というか、何か対象を捕まえようとする前兆というか・・・多分あれなんじゃないかなと。
思い込みは禁物なのでしょうが、実際そういう働きが見えてきたので「探してる・・・」もし妄想が浮かんで手放しずらいときは「つかまえている・・・」とやってみたら普段よりも早く、気持ちいいなあと思う状態に入れたのは事実でした。
心を高速で静める練習とすばやく判断して、判断結果を手放す練習
他にも止と観の瞑想、どちらを先に実習するかという話題がありました。
特に
・止を先に重点的に習得すると先に集中力強化や不思議な感覚が体験できる
・観を先に重点的に習得すると智が増え、また日常の心の働きに右往左往しなくなる
どちらもあるよ、という以上の結論は出されていませんでしたがざっくりまとめると
片方が高まるともう片方に良い影響があるため、好みの問題なのだろうという理解でいます。
ただ、自分が今どちらに取り組もうとしているのかは明確にイメージして瞑想しないと改めて思いました。
やはり瞑想の各状態や分析対象は整理して望まないとなあ
実はこのあたりの話は以前に読んだ『ブッダの瞑想法ーヴィパッサナー瞑想の理論と実践』に詳しく実践時の注意と段階として書かれてもいるのですが、すっかり頭から抜け落ちていました。とほほ。
マニュアルとなる本を何度も読み返しつつ、瞑想することの重要性と「悩んだら先達に相談するor相談するつもりで古典にあたる」というのは欠かせないなあと再度思いを新たに出来ただけでも今回は良しとします。
勉強すると瞑想するのが楽しみになってきますね(`・ω・´)