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ヒグコハ

子供と一緒に遊び、瞑想。

限られた時間とお金、子供に「効果的に」使ってますか?『学力の経済学』読了。

読書ログ

「学力」の経済学

今の教育の知識がどれだけ主観的で非効率的なのか。

従来の通説を否定する科学的根拠(エビデンス)を突きつける一冊「学力」の経済学です。

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目次

教育への向き合い方を考える資料として「学力の経済学」はお勧め

お勧めされていた『「学力」の経済学』、読了しました。

selfquest.hatenablog.com

幼児教育の経済学』はお金のかけどころ以外の情報が知りたいと思い、今回は読むのを見送りました。

selfquest.hatenablog.com

結論として『学力の経済学』は子供への教育で親が悩むポイントである

  • 教育において「何」を参考にするか
  • ご褒美の与え方

など具体的なテーマの実験結果が従来の通説と異なることを提示していく流れを通して、「経済的な教育への投資はエビデンスを重視して行うべき」という主張を行う本でした。

保護者へ特定の教育指針を後押しする本ではありません。

主張はその通りと思いますが、一人の親としては「紹介された事実を元にどのように今後子供の教育に向き合っていくか」が重要なのでその視点で感じたことをまとめました。

限られている教育資源を「より確実な」方法に振り分けよう

子育てで悩まされるのはありとあらゆる人が「これはいい」と言って自分の経験を押し付けてくること。

この本では

たしかに日本では、教育を受けたことがない人はいないので、教育について一家言あるという人は少なくありません。まさに、「一億総評論家」

とも揶揄されています。

冒頭でもまとめたようにこの本では

どこかの誰かの成功体験や主観に基づく逸話ではなく、科学的根拠に基づく教育を。経済学者は、そう提案しているのです。

と主張しています。

教育はエンターテイメントでは無いので、成功体験がどれだけドラマティックでも因果関係の有無や効果とは関係ないのです。

むやみやたらに試すのではなく「科学的根拠(=エビデンス)がある」方法から試すべきだ、という主張は多くの家族に受け入れられる内容かと思います。

ただし、教育問題の実験結果自体まだまだこれから増えていく=想定外の結果が新しく現れる可能性があることは頭の片隅に置いておくべきでしょう。

「ご褒美」は使いどころを誤らなければ有効な手段となりうる

「ご褒美」があることは必ずしも内的な動機を損なうとは限らないようです。

一般に「アンダーマイニング効果」という名前で知られているこの法則について、この本では従来のアンダーマイニング論に反して、実際にご褒美を与えた後に心理学的手法を用いて調査した結果「やる気」を失わせてはいなかったという事例が報告されています。

過去の研究結果を引用しアンダーマイニング効果が発生してしまった例も紹介していることから、決して「常にご褒美で釣るべき」ということを主張している本ではありませんが

  • ほぼ無批判に正とされがちな「ご褒美で釣るのはいけない」という教育上の固定観念を緩めてくれたこと
  • それにより柔軟に効果の高いアプローチを検証することが出来るようになったこと
  • 批判された時に反論できる根拠が提示されたこと

は保護者にとって大きな救いになると思います。

無条件に「ほめる」ことの悪影響

良いことと見なされることが多い「ほめる」子育ては、状況によっては非常に悪影響があるようです。

特に「悪い結果」を出した時にほめて自尊心を向上させると

  • 事実を反省する機会を奪う
  • 自分に対して根拠の無い自信を持つ

という弊害が現れる実験結果が出されています。

正しい認知を歪める発言で一時的に自尊心を確保させても、長期的に見てあまり良いことはなさそうです。

あくまでも実験結果。では親はまず何を考えるべきなのか?

どちらも子育ての手段について従来の視点と異なる見解が示されていて、その根拠が個人の経験や、専門家のコメントレベルではなく、実験の検証結果という点でこの本は従来の育児指南書と一線を課しています。

ただ、これは単に「ある手段から発生している効果が実験検証の結果、従来想像していた結果と違った」というだけの話で、それ以上特筆すべきものではありません。

むしろ、この本は「非認知能力」という単語が存在し、その能力の育て方が今現在研究対象となっていることを保護者に気づかせる点で評価されるべきだと思います。

非認知能力とは

非認知能力と呼ばれる能力、いわゆる「自制心」「やり抜く力」「自信」などが育っていた子供が、将来の収入が多いだけではなく、人生全般に対する問題をより上手に乗り越えていく傾向が認められています。

本書で紹介されている「ペリー就学前プロジェクト」で明らかになったことですが、このプロジェクトで行った介入というのは

  • 幼稚園の先生は修士号以上の学位を持つ児童心理学等の専門家に限定
  • 子供6人を先生1人が担当するという少人数制
  • 午前中に約2.5時間の読み書きや歌のレッスンを週に5日、2年間受講
  • 1週間につき1.5時間の家庭訪問
  • 貧困家庭が直面する「家庭の資源」の不足を補うため、子供だけでなく親に対しても積極的に介入

というものでした。

幼児教育の経済学』では具体的で効果的な方法を模索している内容が書かれているようですが、現時点ではまだ特定は出来ていないようです。

保護者が真っ先に行うべき教育への投資=「教育とその効果への正しい知識を得る」

まだまだ効果的な教育が研究途上である以上、新しい情報を常時チェックすることが経済的に保護者が教育に携わるためには一番重要なことなのかもしれません。

ちなみに教育の価値を過小評価しないことが最も簡単で、効果の高い方法のようです。

マダガスカルで行われた実験で、親と子供が教育の価値を正しく知ることで学力が大きく向上したとの結果が示されています。

https://www.povertyactionlab.org/sites/default/files/documents/Nguyen%202008.pdf

f:id:ri-nyo:20160901171226j:plain

このように親や子供にも簡単に分かる「学歴によって月の収入がどれだけ変わるのか」というカードを渡すなどして教育と将来の収入の関係を教えたようです。

教育で得る結果を重視するのではなく、教育の「プロセス」こそ重視すべき

変化スピードが激しい現代においてテストの結果のように固定化した知識を得ることにこだわると、あっという間に陳腐化されてしまいます。

一時的に知識を蓄えるのではなく、生涯にわたって継続して知識をスムーズに得ることが出来る能力が今後さらに重要になります。

最近では、非認知能力を鍛える手段として、部活動や課外活動にも注目が集まっています。他にも、高校生が高齢者にコンピュータの使い方を教えるという社会奉仕活動のように、教室で学んだことを地域社会で問題解決のために生かすような教育や、アウトドア活動なども有効であるといわれています

その点では一時的に結果を得るためだけに結果を生み出すためのプロセスを学ぶ機会を減らすような選択はよほどのことが無い限り取らない方が良いのかもしれません。

正しい知識を得つつ、柔軟に必要な能力を手に入れるための「プロセス」を強化することを当面の目標としたい

これらの内容を参考に「行動する意欲の強化」を目標として具体的に以下のサポートを計画してみました。ご参考まで。

  • 結果だけを見るのではなく自分の手の届く範囲で「できた」こと、達成した行為の向き合い方をほめる。

才能や結果をほめるのではなく、具体的な行動に言及する。アクショントークというやつだ。

アクショントークをよく知らなかったのですが、苦情や要求を伝える時に「行動」に特化して伝えることで相手を必要以上に傷つけることなく伝える技術なのですね。 

  • 達成感があまり感じられていないようであれば、親が代弁して喜ぶ

幼いうちは自分自身の感情に名前がまだついていないこともあるため、「達成感」を親が言葉や態度で表現してあげることはとても大事です。

  • 子供のやることの内容・時間を区切り、明確化して達成するタイミングを増やしてあげる。

自制心の鍛え方としても細かい計画、記録、達成度の管理が説かれていましたが、タスクが明確になるほどチャレンジしやすく、また達成したことも子供に分かりやすくなります。

  • 何回かに一回は「ほめる」「ご褒美を上げる」という方法で「達成する」=「うれしいこと」という回路を作ってあげる。

心理学でいう「部分強化」を意識しています。 

当面はこれを続けていきながら「子供がいいサイクルを続けられる環境」を親が早めに把握してあげられればベストと考えています。

次に重要なのが「子供を見てあげる時間を増やす」

いかに計画的に子供を見てあげる時間を確保するかは、どの勉強をさせるかよりも家族内で重点的に話し合う価値があるようです。

学習時に保護者が学習する習慣を守らせたり、実際に学習する姿を見守ることで学習時間が有意に高まる結果が示されています。

「家庭の資源」として保護者がどれだけ子供を見てあげられるかというのが重要なポイントになってくるのではないでしょうか。

いいサイクルを続けさせる上でも、その途中で発生する違和感を感じ取る上でも、声掛けだけではなく実際に見てあげるのは効果的ですし。

ちなみに実の親でなくとも、代理で見てくれる大人がいるだけでも効果があるようです。

まとめ

後の章は教育の経済効率のような話になるので、今回は省きました。

経済効率を重視しなければ「良い結果」が出ている群を全て真似すれば大きく外れません。

その意味では研究が進んでいなければいないほど、富裕層に有利なのが教育。

まだまだ研究が進んでいない現状では、親が自分自身で効率的な方法や子供に何を身に付けさせるかを考えて接していかなくてはなりません。

自分自身でいっぱいいっぱいでも、親の務めも果たさにゃならぬ。

その点

  • 教育の効用についての知識を深める
  • 定期的に子供の頑張りを見守る

このあたりのすぐ出来ることが効果があることが示されている点、とても実用的だと思います。

私自身も子供に対してどう向き合うかを考えているうちに、自分自身のトレーニング方法について応用が利く点も多数見つかり実りの多い結果となりました。

親子共々、一緒に頑張ってみたいと思います。

「学力」の経済学

「学力」の経済学

 

 

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